会社四季報通読の有用性
こんにちは、サラリーマン投資家のた~とるです。
先日、会社四季報を買ったことを書いたのですが、読み方として通読をおすすめしました。
今回は、会社四季報通読の有用性について書こうと思います。
四季報通読とは
四季報通読とは、紙媒体の会社四季報を最初から最後まで読むことを指します。
表紙から付録まで全部読む方もいますし、銘柄だけ全部見る方もいます。
僕の場合は、付録は流し読みする程度であまり時間をかけませんが、銘柄は全て見るようにしています。
通読にかかる時間は
人それぞれですが、全体を5時間で読む方もいれば、20時間で読む方もいます。
平日に仕事や家事に追われている方であれば、期間にして最低1~2週間はかかると思います。
僕の場合、平日は仕事終わりに1~2時間読み、週末にはまとまった時間をとって読んでいます。大体10日くらいかかります。
ポイントを絞れば、5時間あれば読むことができると思います。例えば、利益と収益性にだけフォーカスして、1株利益の予想値や安定性、営業利益率、ROE・ROAだけ見るとかですね。
普通に読むと、通読には膨大な時間がかかります。掲載銘柄数は3,900弱ですので、1社30秒で読んだとしても30時間以上かかります。株が好きな人や投資が趣味の人でないと、なかなかしんどい作業ですね。
四季報通読の有用性
さて、時間をかけて紙の四季報を通読することですが、下記のような有用性があります。
①市場全体の過熱感や冷え込み度が分かる
四季報を通読すると、市場全体の過熱・冷え込みの感覚が分かります。
僕は、初めて買った2009年新春号の四季報でこの感覚がつかめました。この号は、リーマンショックで株価が大暴落した後に出版されたものです。株がめちゃくちゃ安いのは四季報を通読するだけで分かりました。大半の株が高値から60~70%下落していて、もとに戻れば2~3倍は当たり前、戻れば5倍くらいになるような激安の株も大量にありました。単純にチャートを眺めるだけでも市場の「異常感」がつかめるような状況でした。
この頃のニュースは「株は危ない」「まだまだ下がる」「株を買うのはバカ」、こんなものばかりでした。四季報を読めば、「むしろ安くてチャンスでは」と思えたものです。素人の感覚でも分かる状況でした。
一方で、四季報通読をすれば、市場の割高感を探ることもできます。
例えば、「1年前の号だと買いたい銘柄が200あったけど、今年は50しかなかった」という状況があったとします。
こんな場合であれば、「買いたい銘柄が少ない=市場全体が割高になってきている」ということで警戒のレベルを上げればいいと分かります。ポートフォリオの現金比率を上げるなりの対応をとることができます。
市場全体の過熱感や冷え込みは、上場企業全体を俯瞰して見ることで、よりはっきりとわかるものです。全銘柄を俯瞰的に見れば、ニュース、SNSなどの情報では得られない気づきと発見があります。例えば、A社が業績好調というSNS上のコメントがあっても、それだけでは市場全体の傾向はつかめません。四季報を通読していれば「A社だけでなく市場全体が好調で、全体的に株価が上昇傾向にあっただけ」などの判断が可能です。
②業種ごとの癖が分かる
将来性の有無やテーマによる流行、政府の政策への憶測などから、業種全体が割高だったり割安だったりすることがあります。
また、業種によってはPERが常に高めだったり、逆にPER10倍以下の銘柄が多い業種もあったりします。銘柄コード2000番台は成長株が多いけど、PERが高すぎて買えないとか、景気敏感株はPERが低めに出ているとか、業種ごとの傾向とか株価水準が見えてきます。
教科書的には、「PERが低い方が割安」「しかし、景気敏感株は好況期にPERが低くなる逆行現象が起きる」などのような説明がなされることがあります。四季報通読では、こういう癖も見えてきます。
この辺りの癖をつかんでおくことは投資の役に立ちます
PERが常に高めの業種で、PER12~13倍くらいまで下がった株があれば、買いを検討することもできます。常時PERが低い業種であれば、PER10倍くらいでも割高感が出てくるときもあります。PER5倍で割安かと思いきや、たまたま好景気の頂点だっただけということもあります。この辺の感覚はスクリーニングだけでは身に付きません。やはり全体を俯瞰して見る必要があります。
③スクリーニングでは拾えない銘柄が見つかる
スクリーニングでは、条件に当てはまった株を見つけ出すことはできますが、条件ギリギリで除かれる境目にある株も存在します。
例えば、「PER10倍以下 かつ PBR1倍以下」でスクリーニングしたとします。この場合、「PER5倍でPBR1.01倍」という株が漏れてしまいます。購入銘柄の選択肢が増えるほど、ポートフォリオを柔軟に構築できます。
④割安・割高の原因が見えてくる
何度も通読を繰り返していると、割安・割高の癖や原因も分かってきます。
割安なだけで株価の上がらないバリュートラップ銘柄は、割安ではあるのですが株価が上がらず、大体毎号同じような株価がついていたりします。
また、以前の号に比較して株価が上昇している銘柄があれば、その原因などの背景を探っていけば、どのようなカタリストがあったのか、何故株価に影響があったのか、分析するときのポイントが掴みやすいです。
常にPERが高い銘柄も一定の傾向があることが分かります。生活必需品を扱う日用品メーカーや医薬品などのディフェンシブ銘柄、最新テクノロジーへの成長期待銘柄、お得な優待制度があって人気が高い銘柄など、株価が高めの水準を維持している理由が分かったりします。
割安だからいいとか、割高だからダメという理由だけでは市場が動いていない、そういうことも分かるんです。
⑤会社に詳しくなる
単純に、世の中にある有力企業の情報に詳しくなれます。
また、会社名からは分からないようなこともあります。メーカーなのに実は不動産の方が稼ぎ柱だったり、将来期待できる業種だけどずっと赤字続きだったり、財務がやばい会社だったり。
日常で役に立つこともあるでしょう。経営状態が悪い会社の製品やサービスには少し警戒するかもしれませんね…
ざっくりですが、四季報通読の有用性を書きました。楽しい方には楽しいと思いますが、面白くない方にとっては本当につまらない作業になりますので、ご無理をなさらないようにしてくださいね。
以上、た~とるでした。