た~とるの投資ライフ

「配当>生活費」達成済 / 株式投資・資産運用の思考整理と備忘録

複利は素晴らしいけど、リターンを享受するには人生は短すぎる①

サラリーマン投資家のた~とるです。

今回は投資をする上で重要な複利について書きたいと思います。

複利のメリットはネット中に転がっていますが、「罠」の側面もあるので、注意のために記したいと思います。

複利は素晴らしいけど、リターンを享受するには人生は短すぎるという点についてです。

 

複利というと、運用益を再投資して「利子が利子をうむ」ことを指しますよね。

マネーリテラシーや株の勉強をすると必ず目にすることになると思います。

かのアインシュタインも、複利を人類最大の発明と称しています。

長期間にわたる投資が莫大な利益を稼ぎ出せるのは複利のなせる業です。

マネーの教科書でも、銀行の金融商品の勧誘でも、複利の重要性を説いていることと思います。

 

しかし、複利には大きな罠が一つあります。健康でいられる年齢と投資期間との関係性です

特に難しい話でもありません。エクセルで計算するだけなので、ちょっとシュミレーションしてみます。

 

例えば、社会人1年目の22歳で株式投資を開始し、以下の条件で複利運用をしたとします。

・毎年100万円分を貯金し、年度末に証券口座へまとめて入金。

・証券口座に入金されたお金はインデックス投資などで年5%で複利運用する。

・60歳で退職し毎年100万円の積立は終了。5%の複利運用は100歳まで続ける。

※退職金や税金、手数料などは一旦無視します。

 

さて、複利運用の結果、100歳のときの資産額は約7.6億円にもなります。

証券口座へ入金した積立額は3,800万円。投資のリターンは約7.2億円です。

ちなみに資産5億円超の超富裕層世帯は、日本でも0.2%しか存在しません。

長期複利運用の絶大な効果が分かります。

 

似たような事例は海外でもあります。

アメリカにロナルド・リードさんという方がいました。

この方はガソリンスタンドや清掃員で働き、収入は多くないながらも株式投資を継続して行っていました。2014年、彼が92歳で亡くなったとき、その資産は800万ドルもあったといいます。今のドル円相場なら10億円を軽く超える額です。

彼の死は世界中でニュースになったと聞きます。なぜ、収入が少ないのにこれだけの資産を築けたのかと。この疑問に対する回答は、「長期の株式投資複利運用を行ったから」ということになります。

 

シュミレーションの5%運用にせよ、ロナルド・リード氏の例にせよ、複利は生涯でこれだけの投資リターンを生み出します。

複利ってすごい!!」となりますよね。

実はこの長期運用というのが罠のポイントなんですが…

 

少し時を巻き戻してみましょう。

シュミレーションの60歳時点の資産額がどうなっているのかを見てみます。

実は、60歳時点では資産は約1億700万円までにしか増えていません。

積立額3,800万円に対して、投資のリターンは約7,000万円。

十分な運用成績なのですが、100歳まで複利運用を続けたときと随分資産額が違いますね。

1億円というのは十分な資産額ですが、一方で住宅や高級車の購入、海外旅行、ブランド品購入など、消費を繰り返していればすぐに無くなる額でもあります。

 

さて、このシュミレーションの例では、複利運用のリターンのほとんどは人生の後半に集中していることが分かります。

22歳~100歳の投資リターンは7.2億円

これを運用期間の前半と後半に分解すると、

・22~60歳では、38年かけて投資リターン7,000万円

・60歳~100歳では、40年かけて投資リターン6.5億円

つまり、人生後半の40年間のリターンが運用利益の90%近くを占めています。

年率5%運用ですらこのような結果です。

 

運用の年率が上がるにつれ、さらに人生後半にリターンが集中していきます。

現実離れしますが、同じ条件下で複利運用の年率を20%にしてみます。

そうすると…

・60歳で資産50億円

・100歳で資産7兆5000億円

となります。

皮算用のため資産額が兆を超え現実感はありませんが、注目すべきは人生後半にリターンが集中するという点です。

この場合では、投資リターンの99.9%は60歳以降に稼ぎ出すことになるんですね。

さすがに、20%運用なら60歳時点で資産50億円に到達するので、超富裕層ライフを満喫できそうです。

では、この運用成績なら比較的若い40歳でリタイアしても余裕だろう思いきや、40歳時点の資産は1億2800万円です。世帯構成によっては、仕事を辞めて資産生活に入るのは躊躇してしまうような微妙なラインです。

22歳から100歳まで運用を続ければ資産が兆を超える運用利率をもってしても、40歳時点ではようやく億を超えた程度となります。

 

これが複利運用の性質であり、最大の罠でもあります。

投資期間が長期になるほど複利の効果が増大しますが、資産を築く頃には既に老いているんです。

複利は確かに素晴らしいものですが、本当に大きな効果を享受できるのは、投資を開始してから50年とか60年とか、そのくらいの蓄積期間が必要です。

残念なことですが、指数関数的な複利運用の効果を享受できるまでに、人間は老いを迎えます。

 

続きます。